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実体験でわかったiPadインターフェイスの盲点

iPad のアプリに「AqTk2App iPhone」ろいうのがあって、テキスト入力で合成音声を生成・発音できるのですが、これはタッチデバイスならではのユーザビリティを提供するのでは!と考えました。

AqTk2Appは、テキスト入力後はリストされた履歴がそのまま発声ボタンになるのです。これはパッドの操作が苦手でも「発音」させるだけなら簡単。つまり発声が不自由な方が意思疎通に使えるのではないかと思いました。私の父がまさにそうで、見聞きはしっかりしているようでなのですがうまく声を発することができないもどかしさを、このようなアプリが補うことができないかと考えたのです。ただし父は手も不自由なのですが左手の上げ下げはできるので、指タッチは可能。前にもお絵かきソフトを利用したことがありました。

そこで、今回iPad を持って病院で試してきました。結論を先に書くと「使えない」ものでした。
これは症状の重度にもよるかもしれませんが、タッチデバイスの決定的な操作性のルールによって、父にはテキストボタンを押すことがままならないのです。

 

 そのタッチデバイスのルールとは、ボタンとしての反応は「タッチを離したとき」であるという仕様です。スクリプトで言えば「on (release) 」です。リリースしたときに反応するのはiPhone カメラのボタンなどがよい例ですが、「押したまま対象を捉えてから」リリースすればシャッターが切れる、という感じです。
これはiOS に限らず誤作動を防ぐための措置だと思いますが、この「ボタンを離す(リリース)」動作が父にはできないのです。だから、対象を捉えてもシャッターが切れないという繰り返しでした。いくらテキストボタンをタッチしても「ドラッグ」してしまうのです。ドラッグは多くの場合「スクロール」してしまい、ボタン機能が作動しない、という結果となりました。
あらためてソフトウエアに頼らない「物理的ボタン」の重要性を認識しました。ボタンはボタンらしく「押した瞬間」に反応してほしいと、私だけではなく「父自身」が感じたでしょう。

 

おそらく何の障害もなく操作できる方が多数のはずですが、今回知ったのは、ベッドで寝ているとタッチした局面から「指を離す」動作がことのほかしづらい、という事です。

 

これには打開策があるのでしょうか?ボタンがボタンらしく「押したときに機能」させることは、誤作動を起こしたりキャンセルができなくなるので制作時に採用されないのでしょうか?条件的な選択の余地を増やせば誤作動は回避できそうですが、クリック数(タッチ数)が増えてしまいます。
いままで健常ゆえに見えていなかったことを、改めて気づかされました。自分のいつものデザインの中にも意識せねばならない重要なヒントがあるようにも思いました。
ユーザー・インターフェイス・デザインはまだまだ発展ののりしろがあるのだと感じました。

 

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